ウイスキーの香りを知る:製造工程から香りの秘密まで徹底解説

お酒の知識

ウイスキーのレビューを見ると、スモーキー、ピーティー、モルティーなど、謎の専門用語が並んでいるのを目にすると思います。

今回はそんなウイスキーの香り表現を徹底解説します。

また、それぞれの香りを感じられるおすすめウイスキーも紹介するので、是非参考にしてください。

ウイスキーの香り表現

ウイスキーの香り表現を大別すると「スモーキー」「モルティー」「エステリー」「ウッディー」の4つに分かれます。

スモーキー

スモーキーは、その名の通り燻製の香りのことです。

ウイスキーの世界では、スモーキーを更に細分化した3つの表現が使われます。

  • ピーティー:芳醇な燻製の香り
  • メディシナル:薬品の香り(ヨード香)
  • ハーシュ:感じの良くない香り

「ピーティーだね!」と「スモーキーだね!」は殆ど同じ意味と考えて良いと思います。

実際に細かく理解して使ってる人って少ないのでは?と思います。

モルティー

モルティーは、ウイスキーの原料である麦芽の香りのことです。

言葉だけだとイメージしづらいかもしれませんが、「モルティーはビールの香りにも使われる表現(ビールの原料は大麦麦芽)」と思えば少しはイメージしやすいでしょうか?

エステリー

エステリーは、熟成による甘く華やかな香りのことです。

エステリーを感じる機会はかなり多いと思います。

ただ、実際のレビューでは「エステリーだね」と直接言わず、「洋梨のような香り」「オレンジのような香り」「青リンゴのような香り」など、別の表現で説明されることが多いです。

ウッディー

ウッディーは、その名の通り木々の香りのことです。

製造工程で使われる樽に起因するウッディーな香りは、樽の素材によって様々に表現が変わります。

「カラメルのような香り」「バニラのような香り」など、一度はレビューで目にしたことがあるのではないでしょうか?

ウイスキーの製造工程が分かれば香りも分かる!

お酒のアレコレ

ウイスキーの香りはどのようにして生成されるのか。
ウイスキーの製造工程を通して解説していきます。

1.製麦

最初の工程は製麦(せいばく)です。
モルティングとも言いますね。

製麦は大麦を水に浸漬させて発芽させる作業で、発芽した大麦を「麦芽(ばくが)=モルト」と言います。

発芽させることで、後工程の糖化で必要な酵素が生まれます。

ちなみに、ウイスキーの原料である麦芽の香りがモルティーだよ

2.焙燥

製麦が終わったら焙燥(ばいそう)させます。

焙燥は麦芽に湿風(熱風)を当てて乾燥させる作業です。

発芽して成長しすぎると酵素が失われてしまうので、乾燥させて発芽の成長を止める必要があります。

乾燥させる為に焚いたピート(泥炭)の煙が麦芽に付いて、スモーキーな香りが生まれるよ

3.粉砕、糖化、濾過

乾燥した麦芽を粉砕(ふんさい)し、温水を加えて糖化(とうか)させます。

温水を加えると麦芽の中にあるアミラーゼという酵素が活性化し、デンプンを糖に分解してくれます。

これが糖化です。
糖は、後工程の発酵で必要になります。

糖化の工程で抽出された液体を濾過(ろか)すれば麦汁(ばくしゅう)の出来上がりです。

4.発酵

前工程で抽出した麦汁に酵母を加えて発酵(はっこう)させていきます。

酵母は麦汁に含まれる糖を分解し、アルコールと炭酸ガスが発生させます。

酵母はアルコールと二酸化炭素を生成するだけでなく、様々な香気成分も生成します。

酵母の種類によって、柑橘系の香り、青リンゴの香り、梨の香りなど、様々な香りが生成されます。

エステリーの香りは発酵の工程から生まれるんだね

発酵後のアルコール度数は約7%くらいになっています。

5.蒸留

蒸留(じょうりゅう)はアルコール度数を上げるための作業です。

水(沸点100℃)とアルコール(沸点80℃)の違いを利用して、アルコールを先に気化させます。

その後、気化したものを再度冷却して液体に戻すことで、アルコール度数を上げていきます。

最終的にはアルコール度数70%くらいまで高めていきます。

6.貯蔵・熟成

蒸留後の液体(蒸留液)を木製の樽に入れて貯蔵・熟成していきます。

樽はオークと呼ばれる木材が使用されています。
オークといっても種類は様々で、世界には300〜350種あると言われています。

熟成中に樽の香りが付いてウイスキー独特の香りが出てきます。
オークの種類によって、バニラ、カラメル、ハチミツなど、様々な香りを生み出します。

ウイスキーの香りを決める最も重要な工程と言っても良いかもしれません。

貯蔵・熟成で使われる樽の香りがウッディーということですね

7.調合

ウイスキー作りの(後熟や瓶詰めを除く)最後の仕上げが調合(ちょうごう)です。

熟成させた蒸留液がそのままウイスキーになるわけではなく、複数の液を混ぜ合わせて味を整えて出荷します。

香りの違いを知りたい人におすすめのウイスキー

ここまでウイスキーの香りを説明してきましたが、正直、言葉で説明してもイメージしづらいのではと思います。

百聞は一見にしかず。

香りを知るにはやっぱり飲んでみるのが手っ取り早いです。

そこで、それぞれの香りを感じるのにおすすめのウイスキーを紹介していきます。

スモーキーなウイスキー

スモーキーな香りはピーティー、メディシナル、ハーシュの3つに細分化されるので、それぞれのおすすめウイスキーを紹介します。

ただし、ハーシュ(感じの良くない香り)のウイスキーは見つからなかったので省略します。

ピーティーなウイスキー

メディシナルなウイスキー

モルティーなウイスキー

ウイスキーの原料は穀物なので、どのウイスキーも必ずモルティーな香りがあります。

正直、銘柄選びに苦労しますが、あえてモルティーを感じるウイスキー銘柄を選ぶとしたらダルウィニー15年でしょうか。

エステリーなウイスキー

エステリーなウイスキーはたくさんありますが、他の香りが混在して分かりづらいものが多いです。

グレングラント10年は青リンゴのようなフルーティな香りが顕著なので、エステリーを味わいたい人におすすめです。

ウッディーなウイスキー

ウッディーな香りを感じたいならメーカーズマークがおすすめです。

安価でスーパーにも売っているので手に入りやすいのも良いですね。

おわりに

今回はウイスキーの香り表現について解説しました。

実際に香りを体感するのにおすすめのウイスキーも紹介したので、是非飲んで香りを体感してみてください。

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